臨床工学センター
部門紹介
近年の医学の進歩、医療技術の発展にはめざましいものがあり、それに伴い手術室や集中治療室などにおいて、患者の生命に直接関わる高度な医療機器が数多く使用されています。
これら高度な医療機器の取り扱いを安全に操作するには専門的な知識や技術をもった人材が必要となり、昭和63年4月1日「臨床工学技士法」が医療国家資格として施行されました。
臨床工学技士は、一般的な医療機器はもちろん、生命維持管理装置と呼ばれる人工心肺装置、人工呼吸装置、血液浄化装置、高気圧酸素治療装置などの医療機器操作から保守、点検までを行う重要な役割を担っています。
また医師や看護士、その他コメディカルとともにチーム医療の一員として、生命維持管理装置の操作や病院内で使用されている医療機器(ME機器)の安全管理を行います。
当院の業務内容
人工心肺業務
心臓手術の際、心臓を一時的に停止させてから手術を行います。その際全身の血液循環を一時的に人工心肺という心臓と肺の役割を兼ねそろえた装置を用いて患者さんの全身へ血液を送ります。心臓が停止した状態でも人工心肺装置を用いて酸素を供給し続けることで患者さんの臓器を守ります。
血液浄化業務
慢性期急性期にかかわらず腎不全を発症した場合、患者さん自身で老廃物や過剰な水分を除去することが出来なくなってしまいます。そこで腎臓の代わりに老廃物や過剰な水分を除去し、電解質の調整することで体内バランスを整えます。
また薬剤等の内科的治療のみでは困難な肝不全や膠原病等の患者さんに対して、血漿中に存在する病因物質を除去するための血漿交換や免疫吸着などの管理及び操作を行います。
呼吸療法業務
医師や看護師とともに患者さんの呼吸状態が適切に行えるよう管理します。また使用前点検や使用中点検、定期点検を実施することで安全な人工呼吸療法を行えるよう保守点検を行います。
補助循環業務
手術室や集中治療室、心臓カテーテル検査室などで、IABP(大動脈バルーンパンピング)、PCPS(経皮的心肺補助)、ECMO(膜型肺による体外酸素加法)などの装置を操作や管理を行います。
ME機器管理業務
病院内のシリンジポンプや輸液ポンプ、患者監視モニター、電気メス、除細動など各種医療機器を安全に使用するために保守点検を行います。また数多くの医療機器を効率的に運用するために集中管理など行います。
ペースメーカ管理業務
体外式ペースメーカの操作、植込式ペースメーカの植え込み時の計測、ペースメーカ外来で計測?診療補助を行います。また当院では遠隔モニタリングを実施しております。異常時は当院の専用メールに情報が送信され、当センターで随時管理しています。
アブレーション業務
血管から電極カテーテルを心臓内に挿入し、不整脈の原因である組織にカテーテルを通じて体外から熱などのエネルギーで焼灼や破壊する治療法です。電極カテーテルを心臓内の映像化する機器や不整脈の根源を診断する装置の操作や管理を行います。
内視鏡関連業務
安全かつ迅速に治療を実施するため、中央内視鏡部内における治療時の介助や内視鏡機器の準備及び使用前点検、保守点検のタイムスケジュール管理等を実施しています。
高気圧酸素療法業務
高気圧のタンクの中で高濃度の酸素を吸入することで、突発性難聴や末梢循環不全による潰瘍など、様々な疾患の治療に用いられます。これらの治療に関わる医療機器の操作や保守点検などを行います。
その他の業務
今現在様々な機器がある中、専門的な技術者が操作していない機器も多からずあります。そこでそういった機器において、臨床工学技士ができるだけサポートするときが多々あります。
当院の教育方針
- 新規入職者(プリセプティ)は、大学のシステムや社会人としての心得などの新人教育を受けます。
- その後指導者(プリセプタ)とともに教育目標に沿ったプリセプティの個人目標を決定し、実際業務(OJT: On-the-Job Training)を行いながら学びます。
- 実際の臨床業務の中で、不足している知識や技術を見出し、プリセプタによる講習(Off-JT:Off-the-Job Training)を行います。また院外の講習会や学会等に参加することにより個人でも学習し、知識や技術を向上(SD: Self Development)させます。
- プリセプティはSD及びOff-JTで得た知識をOJTで生かし、更なる質の高い医療を目指します。
- プリセプタはプリセプティ教育時において、OJT及びOff-JTから得た情報をもとに教育方針を考案および決定 (FD: Faculty Development)します。
- プリセプタは教育方針を決める際、教育方針を再度見直すためSDに取り組み、プリセプタもレベルアップを目指します。
- プリセプタとプリセプティは教育目標と個人目標を照らし合わせ、不足している技術や知識を再度学びながらステップアップを目指します。